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あとがき愛読党ブログ

本文まで読んでいることを保証するものではありません

国会図書館デジコレで中世史! 叢書編

国立国会図書館デジタルコレクション(デジコレ)がWEB公開している資料は、約35万点。その膨大な書籍のうち、日本中世史の研究に役立つ文献をリストアップするのがこの記事の目的です。

 まずはその第一段として、叢書類(日記や編纂物、軍記など)、および中央の寺社の史料類に関してまとめました(文書集や地方史料はまた次回にまとめたいと思います)。

※誤りや新情報の指摘、大歓迎です!

 かしここゝにちりぼひある一巻二巻の書をとり集めて、かたぎにゑりおきなば、国学する人の能(ヨキ)たすけなるべし
(あちらこちらに分散している少数の書物を収集し、版木に起こして出版すれば、国学を学ぶ人々に大いに役立つものとなろう)
―中山信名『温故堂塙先生伝』より、群書類従刊行を目指す塙保己一の所信。

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※この画像は著作権保護期間満了によりインターネット公開されたコンテンツであり、国立国会図書館ウェブサイトから所定の手続きを経て転載しています。

 

注意点
*デジコレの性格
 デジコレで公開しているものは、書籍に限って言えばだいたいが戦前期の刊行物です。戦前期の図書が必要なときには、まずデジコレで検索してみるクセをつけるとトクする人生になるかもしれません。ただ、戦前期の出版物をすべてデジタル化しているわけでもなく、デジタル化していても公開していないものもあります。デジコレで見つからない=存在しない、ではもちろんありません。
 国会図書館の前身のひとつは旧上野図書館帝国図書館)であり、デジコレで閲覧できる資料の多くは旧上野図書館の所蔵本ということになります。そのためデジコレで閲覧できる資料の性格は、旧上野図書館の特殊な蔵書構築方法(たとえば検閲制度に伴う内務省からの交付など。参照)に大きく規定されるということは、一応念頭に置いておくほうがよさそうです。

 なお国会図書館のデータベースでは近代デジタルライブラリー(近デジ)が有名ですが、現在の近デジは、デジコレのうちWEB公開されている図書・雑誌を閲覧するためのDBという位置づけですので、今回の用途では実質デジコレ=近デジです。

*戦前期の学術水準
 デジコレを使うということは畢竟、戦前期の日本史研究の達成にアクセスするということです。デジコレをフルに活用することで、近世以来の日本史研究の伝統を直に体験できます。とくに史料については、研究書に比べて格段に寿命が長く、戦前期のものながら現在でも価値を失いません。たとえば19世紀末に編纂された『伏敵編』は、今日でも最も包括的な蒙古襲来研究の史料集です。
 もちろん、理屈でいえば、新しい史料集のほうがよりよい質を持ちます。戦前期の史料はしばしば校訂が甘く(典型は群書類従、古事類苑)、底本も最善本ではない場合があります。たとえば、鎌倉後期の公家の日記である『勘仲記』は非常に重要な古記録ですが、戦前来の『史料大成』が底本にしているのは数ある写本のひとつ(九条家本)であり、現在歴博所蔵の自筆写本(すなわち最善本)をもとにした翻刻が『史料纂集』や『歴史民俗博物館研究報告』『鎌倉遺文研究』誌上で進められています。このような事は多々あるため、デジコレで史料を参照した場合は、できる限り別の翻刻史料をあたるようにすべきかと思います。

*凡例
■編者『タイトル』
・版、出版者、刊行年など
・概要。
※戦後の復刊など。
国会図書館デジコレで閲覧可能史料。

簡単な解説や閲覧可能資料などの情報は付していますが、慌てて作文したものですので、あまりアテにしないで下さい。願わくは、自らの手でデジコレの海にダイブされんことを!

 

・経済雑誌社、1893。再版1908。ついで『新校群書類従』を内外書籍が刊行(1937)。
・江戸末期、塙保己一によって編纂された国書の叢書。叢書の範となる。内容細目としてはWikipedia が簡便。
※戦後も幾度か再刊される。
※2014.10から八木書店によりデジタル版販売開始。JapanKnowledgeでも閲覧可能に。
・経済雑誌社版、内外書籍版ともにすべて閲覧可能。
 
・写本:全号まとめ
・続群書類従完成会により刊行(1925)
塙保己一(生前には刊行できず)に手による群書類従の続編。
※昭和以降も幾度か再刊される。
※※2014.10から八木書店によりデジタル版販売開始。JapanKnowledgeでも閲覧可能に。
・続群書類従完成会刊行本の一部閲覧可能。
 
■神宮司庁遍『古事類苑』
和装本(神宮司庁、1899-1914)、洋装本(古事類苑刊行会、1930)
・日本の古事全般にわたる大類聚書。史料の抄出を多く含む。
※戦後、吉川弘文館により二度復刊(1967-1971、1995-1999)。
※有料データベースJapanKnowledgeにおいても電子化。
和装本、洋装本ともにすべて閲覧可能。
 
■今泉定介編『故実叢書』
和装本吉川弘文館、1899-1906)、増訂洋装本(同、1928-1933)
・有職故実に関する叢書。
※戦後に新訂増補版(同、1952-1957)
・「尊卑分脈」「武家名目抄」など含む和装本が閲覧可能。
 
東京大学史料編纂所編『大日本古文書』
東京大学史料編纂所編『大日本古記録』
史料編纂所ホームページ で閲覧・検索できるため、略。
 
■『史料通覧』
・日本史籍保存会、1915-1918。
・古記録などの史料叢書。のち『史料大成』に継承。内容詳細
・「小右記」「左経記」「水左記」「帥記」「兵範記」「山槐記」「勘仲記」など含むすべて閲覧可能。
 
■笹川種郎・矢野太郎編『史料大成』
・内外書籍(43巻のみ日本電報通信社出版部)、1934-1944。
・古記録などの史料叢書。『史料通覧』既刊分18巻に12巻を加え刊行。総計30巻。のち続編も加わり通巻43巻。
※戦後、臨川書店から『増補 史料大成』(1965)『続史料大成』(1967)『増補 続史料大成』(1978-)刊行。
・「中右記」「吉記」「平戸記」「伏見天皇宸記」「花園天皇宸記」「康富記」「親長郷記」「宣胤卿記」など含むすべて閲覧可能。
 
■近藤瓶城編『史籍集覧』
・近藤活版所、1881-1885。
群書類従に漏れた史籍刊行を目的とした叢書。和装本。364部467冊。総目解題1冊。
・「年中恒例記」閲覧可能。
 
■近藤瓶城編『(改定)史籍集覧』
・近藤活版所、1900-1903。
・『史籍集覧』から一部を除き、後集110部をあわせ刊行。洋装本。464部32冊、総目解題及書目索引1冊。史籍集覧. 總目解題
(デジコレより)。
※戦後『(新訂増補)史籍集覧』が刊行。
・「西宮記」「歴代皇紀」「朝野群載」「皇年代私記」「続皇年代私記」「信長公記」「川角太閤記」「本朝神仙伝」「後拾遺往生伝」「善隣国宝記」「続善隣国宝記」「続善隣国宝外記」「新編追加」「参考源平盛衰記」「鶴岡社務記録」「鶴岡事書日記」「碧山日録」「駒井日記」「嘉元記」「関原始末記」「二中歴」「足利治乱記」「政事要略」など含む一部閲覧可能。
 
■坪井九馬三・日下寛校訂『文科大学史誌叢書』
・青山堂雁金屋、ならびに冨山房吉川弘文館、1897-1913。
・中世―近世初めの日記・記録の叢書。帝国大学文科大学の編。和装本、22部57冊、木版。内容詳細 。
※戦後、『続史料大成』(臨川書店、1967)に複製収録。
・「正慶乱離志」「洞院公定日記」「愚管記」「伺事記録」「大館常興日記」「親俊日記」「親元日記「晴右記」「晴豊記」」「鶴岡社務記録」「家忠日記」「三河物語」などすべて閲覧可能。
 
■『国史大系
・経済雑誌社、1901-1918。
・史料叢書。中古の典籍が主。内容詳細 。
※のち『新訂増補国史大系』を吉川弘文館が刊行(1924-1964)。
・「六国史」「百錬抄」「愚管抄」「元亨釈書」「公卿補任」「吾妻鏡」などすべて閲覧可能。
 
国書刊行会、1905-1922。8期75部260冊。
※戦後設立された国書刊行会は同名の別会社。
・「平家物語長門本)」「玉葉」「明月記」「令集解」「参考保元物語・参考平治物語」「参考太平記」「言継卿記」「吾妻鏡(吉川本)」「本朝文粋」など閲覧可能。
 
■高頭忠造編輯『史料大観』
・哲学書院、1898-1900。
・3巻4冊。黒川真頼・小杉榲邨・栗田寛・井上頼圀らが校閲。
・「槐記」閲覧可能。
 
太洋社刊行の史料
辻善之助編『鹿苑日録』(1937)
※戦後、続群書類従完成会により復刊。
・すべて閲覧可能
太田藤四郎『園太暦』(1940)
・すべて閲覧可能。 
 
■三教書院刊行の史料
辻善之助編『大乗院寺社雑事記』(全12冊)
※戦後、『続史料大成』に所収。
 すべて閲覧可能。
辻善之助編『多聞院日記』(全5冊)
※戦後、『増補史料大成』に所収。
 すべて閲覧可能。
 
■『高野山文書』
高野山史編纂所編 (高野山文書刊行会、1936-1939)
高野山文書のうち「勧学院文書」「金剛三昧院文書」「西南院文書」「蓮華定院文書」などを翻刻。全7冊。
※戦後、歴史図書社で再刊(1973)。
・すべて閲覧可能。
 
■神宮司庁編『大神宮叢書』
・西濃印刷岐阜支店、1932-1957。
伊勢神宮に関する研究書・文献資料の叢書。全16冊附図1冊。
※戦後、臨川書店により復刻再版(1970-1971)。また『増補 大神宮叢書』が吉川弘文館から刊行中(2005~)。
・戦前刊行の15点閲覧可能。
 
■稲荷神社社務所編『稲荷神社史料』
・稲荷神社社務所、1935-1941。
稲荷大社関係史料を類従した史料集。5冊で中絶。
・すべて閲覧可能。
 
■八坂神社社務所編『八坂神社記録』
・八坂神社社務所、1923。
・社家の記録を集めたもの。上下巻。
・すべて閲覧可能。
 
■列聖全集刊行会編『列聖全集』
・列聖全集編纂会、1915-1917。
天皇・皇后などの詔勅・和歌・書翰・詩文その他を集成した叢書。全25冊。
※戦後、『皇室文学大系』と改題し、名著普及会より復刊(1979)。
天皇御記を集成した「宸記集」(和田英松編)などすべて閲覧可能。
 
■山田安栄編『伏敵編』
・吉川半七、1891。
・蒙古襲来関係史料の編年史料集。本編と附録。
・すべて閲覧可能。
■『史籍雑纂』
国書刊行会、1912。
・史料叢書。軍記物が多い。
・「関東往還記」「高山寺明恵上人行状」「竹むきか記」「天文法乱松本問答記」「大村記」「大村家秘録」「応仁私記」「日向記」など含むすべて閲覧可能。
 
■黒川真道編『日本歴史文庫』
・集文館、1989-1913。
・軍記物を主とした叢書。全20冊。
・「保元物語」「平治物語」「梅松論」「明徳記」「応永記」「信長記」などすべて閲覧可能。
 
国史研究会編『国史叢書』
国史研究会、1914-1920。
・軍記などの叢書。黒川真道、矢野太郎らが参加。全52種。
・「古事談」「江談抄」「曾我物語」「承久記」閲覧可能。その他戦国軍記多数。
 
★参考 戦前期の叢書だが、閲覧不可のもの
・『皇学叢書』
 館内限定、あるいは承認図書館への配信のみ
・『続々群書類従
 そもそもデジタル化されず。ナゾです。
 
★参考にした辞典等
・『国史大辞典』(吉川弘文館、1979-97)
 日本史学最大の辞書。史料に関する解題集としても使用できる。特に叢書類の詳細細目を明記しており、有用。なお、このような国史大辞典中の史料に関する項目を抜き出しシングルカットしたものが、加藤友康・由井正臣編『日本史文献解題辞典』(2000)。
日本史文献解題辞典

日本史文献解題辞典

 

・橋本義彦ほか著『日本歴史「古記録」総覧』(新人物往来社、1990)

 もっとも網羅的な古記録の解題集。図版も多い。
日本歴史「古記録」総覧〈古代・中世篇〉

日本歴史「古記録」総覧〈古代・中世篇〉

 

 ・竹内理三・滝沢武雄編『史籍解題辞典 上巻 古代・中世編』(東京堂出版、1985)

 巻末に「叢書一覧」を備える。
史籍解題辞典〈上巻〉古代中世編

史籍解題辞典〈上巻〉古代中世編