あとがき愛読党ブログ

本文まで読んでいることを保証するものではありません

2015-01-01から1年間の記事一覧

あとがき21 人生有限、学無窮:竹内理三編『鎌倉遺文』(東京堂出版、1971-1995)

みなさん、歴史家・竹内理三(1907~1997)をご存じだろうか。 かつてある古代史のゼミで、先生がこう宣言した。「みなさん、塙保己一と竹内理三には足を向けて寝てはいけませんよ」 もちろん塙保己一は、江戸時代に『群書類従』を編纂した盲目の大学者だ。…

あとがき20 【祝・世界記憶遺産】「東寺百合文書」以前: 網野善彦『中世東寺と東寺領荘園』(東京大学出版会、1978)

ユネスコの記憶遺産(世界記憶遺産)に、東寺百合文書が認定された。 www.asahi.com 日本のものが認定されてうれしいという以上に、東寺百合文書を保存し、整理し、公開してきたたくさんの人々、とくに所蔵している京都府立総合資料館の人々の尽力が報われた…

あとがき19 模倣と妄補:江戸川乱歩著、宮崎駿カラー口絵『幽霊塔』(岩波書店、2015年)

宮崎駿が長編映画製作を引退するといってからはや2年。 三鷹の森ジブリ美術館で「幽霊塔へようこそ展」がはじまった(2015年5月30日(土)~2016年5月(予定))。 <a href="http://www.ghibli-museum.jp/news/009744.html" data-mce-href="http://ww…

あとがき18 絶対泣ける!?追善供養としてのあとがき:辻善之助『日本仏教史之研究』等

画像は1934年頃、東京帝大史料編纂所の職にあったころの辻善之助検印。花押状の印を用いている。出典 泣ける映画の王道テーマは、やっぱり「死」だろう。 家族、恋人、師匠、別離、余命、病気持ちなどバリエーションは豊富だ。 本のあとがきでも、追悼など「…

あとがき17 歴史学は世界を良くするか:手嶋泰伸『日本海軍と政治』(講談社、2015年)

日本海軍と政治 (講談社現代新書) 作者: 手嶋泰伸 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2015/02/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 歴史と歴史学は、似て非なるものだ。少なくとも、私はそう信じている。歴史上の出来事や人物について、気の遠…

あとがき16 奥出雲から流出した仏像たち:映画『みんなのアムステルダム国立美術館へ』(2014年、オランダ)

この間、劇場で映画『みんなのアムステルダム美術館へ』を観た。 <a href="http://amsmuseum.jp/" data-mce-href="http://amsmuseum.jp/">映画 『みんなのアムステルダム国立美術館へ』公式サイト</a> 映画 『みんなのアムステルダム国立美術館へ』公式サイト 前作『ようこそアムステルダム国立美術館へ』(2008)に引き続き、美術館の…

記事紹介: 「あとがきに見る著者」(「法藏館ブログ編集室のつくえから」より)

仏書で名高い京都の法藏館さんのブログで、「あとがき」についてたいへんよくまとまった記事が書かれていましたので、紹介したいと思います。 編集室の机から_あとがきに見る著者 とっつきにくい難解な研究書・専門書のなかでも、例外的に著者の本音と人間味…

あとがき15 もっとも短い「はしがき」: 野中哲照『後三年記の成立』(汲古書院、2014年)

もっとも簡潔な「はしがき」に出会ってしまった。 はらりと表題紙をめくると、左右にたっぷりと余白のあるページが現れる。その中央に、ほんの少し大きいポイントの活字で以下の文言のみが記されている。 はしがき 従来、貞和三年(1347)とされてきた『後三…

あとがき14: 『人生はニャンとかなる!』(文響社、2013年)とそれみたいなもの

■ウェブ書影展「『人生はニャンとかなる』とそれみたいなもの」によせて 2014年の書籍年間ベストセラーが日版によって発表されました。 年間ベストセラー | ベストセラー一覧 | 日本出版販売株式会社 去年の総合1位は村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、…

あとがき13 ジョジョ4部小説、そして書き続けていた男:乙一『The Book 』(集英社、2007年)

2015年到来! 今年、1月からジョジョ3部アニメ「エジプト編」がいよいよ放送開始され、関係イベント、コラボ、グッズなど、今年のジョジョファンにはお楽しみがいっぱいです。 &amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;lt;a href="http://jojo-animation.com/" dat…