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あとがき愛読党ブログ

本文まで読んでいることを保証するものではありません

あとがき26 デジタル人文学のために?:大森金五郎編『史籍解説』(三省堂、1937)

先日古本屋で、大森金五郎編『史籍解説』という小さな本を買った。これは戦前に作られた史籍専門の解題集(初版は1937年、三省堂。のち覆刻版が1979年に村田書店から出る。私が買ったのは復刻版)で、『古事記』だとか『吾妻鏡』だとかの書名を挙げたのち、…

あとがき25 或る古文書学徒の死:勝峯月渓『古文書学概論』(目黒書店、1930)

古文書学入門 作者: 佐藤進一 出版社/メーカー: 法政大学出版局 発売日: 2003/03 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 27回 この商品を含むブログ (5件) を見る 佐藤進一『古文書学入門』には、参考にすべき古文書学の名著が冒頭に掲げられている。一人の…

あとがき24 憲法上諭誤記事件を検証する:大日本帝国憲法(1889)

なんと今回は憲法の話だ。もちろんブログのポリシー通り、本文には一切触れない。 1889年(明治22)2月11日、大日本帝国憲法が発布された。その華やかな式典のウラで、3つの珍事件が起きたことが伝えられている。・伊藤博文枢密院議長が、式典で使う憲法原本…

あとがき23 原態本の発見?:丸山眞男『現代政治の思想と行動』(未來社、1956-57)

あとがき愛読党員たるもの、かの丸山眞男の名著『増補版 現代政治の思想と行動』の「増補版への後記」にいつかは向きあわなくてはならない。今回はそれへの布石ということで、その旧版についての小ネタを取り上げたい。 〔新装版〕 現代政治の思想と行動 作…

あとがき22 あとがき史上最高傑作!:諸橋轍次『大漢和辞典』(大修館書店、1955-60)

ある方からこんなことを言われた。「最近キミのブログ、本文のこと書き過ぎ!」 ギクリ。確かに最近、あとがきにひっかけて書きたいことを書くばかりで、肝心のあとがき自体と真剣に向きあってないかもしれない。図星だった。 そこで改めて、誰もが読んでお…

あとがき21 人生有限、学無窮:竹内理三編『鎌倉遺文』(東京堂出版、1971-1995)

みなさん、歴史家・竹内理三(1907~1997)をご存じだろうか。 かつてある古代史のゼミで、先生がこう宣言した。「みなさん、塙保己一と竹内理三には足を向けて寝てはいけませんよ」 もちろん塙保己一は、江戸時代に『群書類従』を編纂した盲目の大学者だ。…

あとがき20 【祝・世界記憶遺産】「東寺百合文書」以前: 網野善彦『中世東寺と東寺領荘園』(東京大学出版会、1978)

ユネスコの記憶遺産(世界記憶遺産)に、東寺百合文書が認定された。 www.asahi.com 日本のものが認定されてうれしいという以上に、東寺百合文書を保存し、整理し、公開してきたたくさんの人々、とくに所蔵している京都府立総合資料館の人々の尽力が報われた…

あとがき19 模倣と妄補:江戸川乱歩著、宮崎駿カラー口絵『幽霊塔』(岩波書店、2015年)

宮崎駿が長編映画製作を引退するといってからはや2年。 三鷹の森ジブリ美術館で「幽霊塔へようこそ展」がはじまった(2015年5月30日(土)~2016年5月(予定))。 <a href="http://www.ghibli-museum.jp/news/009744.html" data-mce-href="http://ww…

あとがき18 絶対泣ける!?追善供養としてのあとがき:辻善之助『日本仏教史之研究』等

画像は1934年頃、東京帝大史料編纂所の職にあったころの辻善之助検印。花押状の印を用いている。出典 泣ける映画の王道テーマは、やっぱり「死」だろう。 家族、恋人、師匠、別離、余命、病気持ちなどバリエーションは豊富だ。 本のあとがきでも、追悼など「…

あとがき17 歴史学は世界を良くするか:手嶋泰伸『日本海軍と政治』(講談社、2015年)

日本海軍と政治 (講談社現代新書) 作者: 手嶋泰伸 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2015/02/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 歴史と歴史学は、似て非なるものだ。少なくとも、私はそう信じている。歴史上の出来事や人物について、気の遠…

あとがき16 奥出雲から流出した仏像たち:映画『みんなのアムステルダム国立美術館へ』(2014年、オランダ)

この間、劇場で映画『みんなのアムステルダム美術館へ』を観た。 <a href="http://amsmuseum.jp/" data-mce-href="http://amsmuseum.jp/">映画 『みんなのアムステルダム国立美術館へ』公式サイト</a> 映画 『みんなのアムステルダム国立美術館へ』公式サイト 前作『ようこそアムステルダム国立美術館へ』(2008)に引き続き、美術館の…

記事紹介: 「あとがきに見る著者」(「法藏館ブログ編集室のつくえから」より)

仏書で名高い京都の法藏館さんのブログで、「あとがき」についてたいへんよくまとまった記事が書かれていましたので、紹介したいと思います。 編集室の机から_あとがきに見る著者 とっつきにくい難解な研究書・専門書のなかでも、例外的に著者の本音と人間味…

あとがき15 もっとも短い「はしがき」: 野中哲照『後三年記の成立』(汲古書院、2014年)

もっとも簡潔な「はしがき」に出会ってしまった。 はらりと表題紙をめくると、左右にたっぷりと余白のあるページが現れる。その中央に、ほんの少し大きいポイントの活字で以下の文言のみが記されている。 はしがき 従来、貞和三年(1347)とされてきた『後三…

あとがき14: 『人生はニャンとかなる!』(文響社、2013年)とそれみたいなもの

■ウェブ書影展「『人生はニャンとかなる』とそれみたいなもの」によせて 2014年の書籍年間ベストセラーが日版によって発表されました。 年間ベストセラー | ベストセラー一覧 | 日本出版販売株式会社 去年の総合1位は村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、…

あとがき13 ジョジョ4部小説、そして書き続けていた男:乙一『The Book 』(集英社、2007年)

2015年到来! 今年、1月からジョジョ3部アニメ「エジプト編」がいよいよ放送開始され、関係イベント、コラボ、グッズなど、今年のジョジョファンにはお楽しみがいっぱいです。 &amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;lt;a href="http://jojo-animation.com/" dat…

あとがき12 卒論を断固出すための「断念」術: 小峯和明『今昔物語集の形成と構造』(笠間書院、1985年)

■あとがきより 年末ですね。卒論シーズンですね。この時期、さる本のあとがきを思い出します。 論文は科学を装った詩であり、論文を書くとは断念することだ。 ―小峯和明『今昔物語集の形成と構造』(笠間書院、1985年) 今昔物語集の形成と構造 補訂版 笠間…

あとがき11 著者名を信じるな!? :大類伸『列強現勢史・ドイツ』(冨山房、1938年)

大類伸(オオルイ, ノブル, 1884-1975)という、変わった名前の大物西洋史家がいた。東北大の教授だった人物だ。ルネサンス研究など文化史で一ジャンルを築き、日本の城郭史にも詳しい。国会図書館の目録で調べると、大類の著作は100以上引っかかる。本来の…

あとがき10 あとがきを信じるな!?: 網野善彦『無縁・公界・楽』(平凡社、1978年)

このブログのあとがき愛読もようやく10回目。それを記念し、今年没後10年の網野善彦を取り上げたいと思う*1。 無縁・公界・楽―日本中世の自由と平和 (平凡社ライブラリー (150)) 作者: 網野善彦 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 1996/06 メディア: 新書 購…

あとがき9 「つきあい」の可視化: 河野有理編『近代日本政治思想史』(ナカニシヤ出版、2014年)

瓦経というものをご存知だろうか。 粘土板にお経を刻んだものだ。 瓦経|奈良国立博物館 なぜか平安時代ごろから、この瓦経を大量に作って土に埋めることが流行りだした。 それが父母の供養や自分の極楽往生に効くと思われていたらしい。 瓦一枚につき200字…

国会図書館デジコレで中世史! 叢書編

国立国会図書館デジタルコレクション(デジコレ)がWEB公開している資料は、約35万点。その膨大な書籍のうち、日本中世史の研究に役立つ文献をリストアップするのがこの記事の目的です。 まずはその第一段として、叢書類(日記や編纂物、軍記など)、および…

中世古文書の画像が見れるデータベースまとめ稿

※随時更新(2017/2/14最新12訂: 弘前大追加)。情報募集中! 「信長の印章ってどんな感じだっけ?」 「あの武将の花押が見てみたいなあ」 「本の図版に使う古文書を探してるんだけど」 そんなお悩み、ウェブで解決しましょう。ネット上で見れる中世古文書の…

あとがき8 【ゲスト投稿】長大なる自分語りの祖 : 司馬遷『史記』その②

二歩博士の論考後編、出来!前編はこちらで。 あとがき7 【ゲスト投稿】長大なる自分語りの祖 : 司馬遷『史記』その① - あとがき愛読党ブログ 史記〈8〉―列伝〈4〉 (ちくま学芸文庫) 作者: 司馬遷,小竹文夫,小竹武夫 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 199…

あとがき7 【ゲスト投稿】長大なる自分語りの祖 : 司馬遷『史記』その①

以前執筆していただいた二歩博士から、再び玉稿を頂いた。長編のため、前後遍として掲載することにする。ご味読いただきたい。 ********** 【提要】 史記』の先秦諸子に関する列伝には、その文献・学術・学派に対する「序」の性質がある。 司馬遷…

あとがき6 あとがきはなぜ必要なのか: 小熊英二『単一民族神話の起源』(新曜社、1995年)

あとがきは、本当に必要なのだろうか? (特に)人文系学術書の、長くて、情緒纏綿で、多分に私事に渉るあとがきは、たとえば理系の人士の目にはいかに映るのだろうか。 小熊英二が最初の単著に書いたあとがきは、それへのアンチテーゼであったのだろう。 (…

あとがき5 見ること知ること生きること: 小林正人「研究者になるまで」

東大文学部のHPで見つけた文章がすごくよかったので、紹介したい。 小林正人(言語学)「研究者になるまで」 http://www.l.u-tokyo.ac.jp/teacher/essay/2013/3.html 私は気が弱い。およそプレッシャーというものが苦手で、受験競争がいやで高校を辞めたほど…

あとがき4 「造反教官」の1970年 : 佐藤進一『日本の中世国家』(岩波現代文庫、2007年)

佐藤進一(1916~)。日本中世史の研究者である。饒舌ではないが、その篤実な仕事ぶりは良く知られる(その一例は、http://newclassic.jp/2072 )。書いた論文や著書は決して多くはない。「確実なことをできるかぎり少なく書く、という実証史家の道徳律*1」…

あとがき3 【ゲスト投稿】お星様の話:喬秀岩『義疏学衰亡史論 東京大学東洋文化研究所研究報告』(白峰社、2001年)

今回はなんと、いきなりゲスト投稿である。わが大先輩、二歩氏からの玉稿を賜った。「第三回目にして!?」と思われるかもしれないが、このまま本ブログをあとがき公共圏として育てていきたいので、どしどし投稿してほしい。それではご賞味あれ! *****…

あとがき2 刊行遅延20年:塩尻公明・木村健康訳『ミル 自由論』(岩波文庫、1971年)

世に出でて花を咲かせた一冊の本の根本には、関わった多くの人間の苦悩と葛藤が埋まっている。それをうかがい知る窓が、あとがきである。 それゆえ、苦悩が大きければ大きいほど、葛藤が深ければ深いほど、あとがきは渋く味わい深いものとなる。 ということ…

あとがき1 歴史小説家と歴史家:『豊田武著作集第6巻 中世の武士団』(吉川弘文館、1982年)

豊田武(1910~1980)といえば、長く東北大の教授を勤めた大歴史家。8巻組の著作集がある。この豊田武、かの吉川英治と旅行したことがあるという。 吉川英治のエッセイ「吉川英治 随筆 私本太平記」曰く、それは1958年の5月下旬のこと。『私本・太平記』連載…